Jikka Project
四日市コンビナートまで、100mも離れていないような、そんな場所に古民家が整然と並んでいます。
この家はもともと海沿いにありましたが、昭和14年、海軍燃料廠建設のため、町ごと移転、この家も移築となりました。
その時代ごとの家族構成に対応すべく増築・改築が重ねられてきたこの家も、今となっては、あまりにも広く、使い勝手
の悪いものとなっていました。移築後の70年間で、4世代18人にわたって住み継がれてきたことになります。
「みんなの実家であるために」
4世代分にもなる物を必要なもの・不要なものに分別することから始まり、物置と化してしまっている各部屋を、必要な
部屋のみ残し大幅に減築、法事などで使用される玄関・みせの間・仏間はほぼそのままとする一方、大勢の集まる食堂
・台所・畳の間、プライベートな奥の個室には、大幅に手を加えました。厨子(つし:小屋裏)は、客間及びギャラリーとして
おり、長持ちには、この家で育った人の思い出の品々が収納されています。
この改修により、この家は本来の価値を取り戻しました。この家で育ち巣立っていった人々にとって、自分の家のことを
どこか誇りに思えるような、そのような改修となれば幸いです。
※最後の写真は着工前のもの。これぞ “実家” という趣の古民家でした。
所在地:三重県四日市市
種別:改修
用途:住宅
構造:伝統工法 地上2階建
構造設計:Maru工房 大崎晃靖
施工:若山建装株式会社